Activision Blizzard 2020年度通期決算

Activision Blizzardの2020年通期決算は、売上高81億ドル(8500億円)で前年比25%増、営業利益は27億ドル(2800億円)で同70%増の大幅な増収増益となった。

Activision Blizzard 2020年度通期決算
Robert - stock.adobe.com

 Activision Blizzardの2020年通期決算は、売上高81億ドル(8500億円)で前年比25%増、営業利益は27億ドル(2800億円)で同70%増の大幅な増収増益となった。

 増収増益の要因としては、新作のCall of Duty: WarzoneとWorld of Warcraft: Shadowlandsが好調に推移したこと、またモバイルゲームではCall of Duty: MobileとCandy Crushによる売上が増加したことが挙げられる。一方、Overwatch、Call of Duty: Black Ops Cold Warは不調で収益の一部を相殺する形となった。

部門別売上高

 Activisionが36億ドル(前年比77.6%増)、Blizzardが19億ドル(同10%増)、Kingが21億ドル(同6.5%増)となった。

プラットフォーム別売上高

 売上高をプラットフォーム別に見ると、コンソールが29億ドル、PCが22億ドル、モバイルゲームが26億ドルとなった。さらに部門別に見ると、コンソールでの売上はActivisionが、PC向けゲームはBlizzardが、モバイルゲームはKingの割合が高く、各部門がそれぞれ得意とするプラットフォームで安定的に収益を得ていることが見て取れる。

地域別売上高

 売上高を地域別に見ると、北米が47億ドル、EMEA(Europe, the Middle East and Africa)が27億ドル、アジアが9億ドルとなった。売上高の44%が海外からのものだった。

売上原価および主な経費

売上原価(ソフトウェア販売)

  • 売上原価:7億ドル
    • ソフトウェア売上高に対する割合:30%
  • ソフトウェア使用料、償却、IPライセンス料:2.7億ドル
    • ソフトウェア売上高に対する割合:11%

売上原価(運営型オンラインゲーム)

  • 運営費および配信コスト:11億ドル
    • ゲーム内課金による売上高に対する割合:20%
  • ソフトウェア使用料、償却、IPライセンス料、アプリストア手数料:1.5億ドル
    • ゲーム内課金による売上高に対する割合:3%

開発費

  • 開発費:11.5億ドル
    • 従業員に対するボーナスの増額(2.6億ドル)が一部相殺され、前年から1.5億ドル増加した。 

販促費

  • 販促費:10.6億ドル
    • Call of Duty、World of Warcraft、Candy Crushの各フランチャイズによるマーケティング費用が増大したため、前年から1.3億ドル増加した。

一般管理費

  • 一般管理費:7.8億ドル

組織再編に関わる費用

  • 組織再編に関わる費用(退職金等):0.9億ドル

見通し

 今後は市場規模が大きいモバイルゲームに注力する方針だ。Kingの運営タイトルに加え、PCやコンソールで展開してきた既存のIPをモバイルゲームとして活用していく。その取り組みの一環であるCall of Duty: Mobileはリリースから現在まで好調に推移している。

 また、新たなマネタイズも積極的に導入する。新作のCall of Duty: WarzoneはPCゲームでありながらFree to Play制を導入し、結果的に大きな収益をもたらした。ゲーム内課金やサブスクリプション等の新しい課金方式で収益基盤の安定化を図る。

 新作は、ほぼIPフランチャイズのみとなる見込みだ。売上高の76%が自社IP(Call of Duty、Candy Crush、World of Warcraft)によるものということもあり、より一層フランチャイズの強化に集中する。2021年は、Crash Bandicoot: On the Run!、Diablo Immortalのリリースが予定されており、自社IPのモバイルゲーム化が主軸となりそうだ。