bilibiliがTapTapに136億円の大規模投資を実施

bilibiliとアリババは、中国のゲームアプリストアTapTapを運営するXD Inc.(心动有限公司)に総額154億円の投資を実施した。今回の投資で、bilibiliは9億6000万香港ドル(136億円)でXD Inc.の発行済み株式の4.72%を、アリババは1億5500万香港ドル(22億円)で0.76%を取得した。

bilibiliがTapTapに136億円の大規模投資を実施
Ralf - stock.adobe.com

 bilibiliとアリババは、中国のゲームアプリストアTapTapを運営するXD Inc.(心动有限公司)に総額154億円の投資を実施した。今回の投資で、bilibiliは9億6000万香港ドル(136億円)でXD Inc.の発行済み株式の4.72%を、アリババは1億5500万香港ドル(22億円)で0.76%を取得した。

XD Inc. IR資料より抜粋

 このニュースを受け、香港市場ではXD Inc.の株価が26%急騰。またbilibiliは5.07%、アリババは2.55%株価が上昇した。

 中国の業界関係者はbilibiliとTapTapの提携を概ね高く評価しているようだ。中国のYouTubeとも言えるbilibiliだが、主な収益源はゲーム事業で総収益の40%を占める。しかし、ここ数年にわたってゲーム事業の成長率はほぼ横ばいとなっており、成長の鈍化が懸念されていた。

 一方、TapTapはゲームのアプリストアでありながら、パブリッシャーから課金手数料を一切請求せず、広告収益のみで運営するという独自のポリシーを掲げて成功を収めた。

 中国ではパブリッシャーとアプリストア間で収益分配のトラブルが後を絶たない。昨年9月にはmiHoYoとファーウェイで収益分配の折り合いがつかず、ファーウェイのユーザーが『原神』をプレイできなくなるという事態となった。同様の対立は今年1月にも発生しており、今度はファーウェイが自社ストアからテンセントのゲームを一時的に削除した。これには『Honour of King』『Call of Duty Online』などの人気タイトルが含まれ、多くのプレイヤーが企業間の対立に巻き込まれるかたちとなった。

 このようにアプリストア事業者が不均衡な収益分配に固執する中、TapTapの手数料ゼロポリシーはまさに革新的な戦略であった。miHoYo、Lilith Gamesといった有力モバイルゲーム会社が次々にTapTapへ参入、ユーザーとパブリッシャー双方にとって魅力的なプラットフォームへと成長していった。

 bilibiliはTapTapと資本提携を結ぶことで、ゲームの開発から配信まで一貫したサプライチェーンを構築できるようになる。そしてTapTapはbilibiliの支援を受けつつ、ラインナップを拡充できる。TapTapのタイトルが増えれば、ゲーム実況等の動画コンテンツがbilibili動画をより活性化させるだろう。両社の提携が市場に与える影響は計り知れない。

Source: XD Inc. IR資料