ハイパーカジュアルゲーム×ポイ活でLTVを最大化 成熟市場にLINEが新たな価値を提示
メタ的アプローチで初月から黒字を達成。ハイパーカジュアルゲーム界隈では珍しいコミュニティ形成も実現した「LINEポイントゲーム」の取り組みを取材。
昨今のモバイルゲーム市場でトレンドになっているハイパーカジュアルゲームとは、2019年から4年連続で、世界で最もダウンロードされているモバイルゲームのカテゴリーだ。あらゆるゲームジャンルの中でも、シンプルな操作性・ゲーム性を特徴としている。
同ジャンルは2022年1月~8月の期間、世界市場において87.3億ダウンロード(DL)を記録し、モバイルゲーム全体のDL数のうち30%を占めた(Sensor Tower調べ)。2021年をピークに、DLベースは微減の傾向にあるものの、ハイパーカジュアルゲームの売上規模は拡大を継続。モバイルゲーム市場の中でも、一際大きな存在感を見せている。
一方で、グローバルにおけるハイパーカジュアルゲーム市場は競争が激化している。加えてトレンドの入れ替わりが激しく、単発的かつ短期的なサイクルによって、安定的な運用が難しい状況となっている。一般的なモバイルゲームと比較して、開発工数及び費用を抑えることができる一方、ビジネスにおける成否がやや不安定でもあるのだ。
そこに一石を投じたのが、国内で独自展開を続けるカジュアルゲームを主体としたブランド「LINE GAME」(運営:LINE株式会社)。2022年12月に10周年を迎えた「LINE GAME」は、パズルゲームを中心としたカジュアルゲームや自社IPであるLINEキャラクターを活用したゲームタイトルに加え、IPタイトル『ジャンプチ ヒーローズ』など幅広いジャンルや提供コンテンツの拡充を図っている。
なかでも2021年9月にローンチされた「LINEポイントゲーム」は、プレイすることで「LINEポイント」がたまるゲームサービスとして、直近ではいずれのタイトルもアプリストアの無料ダウンロードランキングで上位にランクインした。さらに定期的なイベント運用やポイント施策などにより、単発的なハイパーカジュアルゲーム界隈においてロングセラーを記録しているのだ。
現在、「LINEポイントゲーム」は8タイトルを展開しており、世界的なハイパーカジュアルゲームのヒットメーカー・Voodoo(フランス)と提携したポートフォリオを構築している。
長期的なヒットが難しいハイパーカジュアルゲームにおいて、「LINEポイントゲーム」の取り組みはひとつの解決策となりうるのではないか。その反響や展望、メッセンジャーアプリを軸にしている「LINE」のプラットフォームだからこそ出来る施策展開などを、同事業を統括する増田智也氏に伺った。
企画・取材:原孝則
執筆・取材:森口拓海
撮影:岸波崇
メタ的アプローチで初月から黒字を達成
――10周年を迎えた「LINE GAME」は、これまでにも「LINE QUICK GAME」(※サービス終了済み)など新しい企画・事業を展開されてきたと思います。その中で、「LINEポイントゲーム」は2021年9月27日にサービスを開始しました。月並みな質問ですが、まずはサービスの立ち上がりから教えてください。
実は、もともと純粋にハイパーカジュアルゲームを開発するところから始まりました。ご存知の通り、ハイパーカジュアルゲームは数年前から世界中で流行しているゲームジャンルです。弊社としても、「LINE GAME」を通して国内のカジュアルゲームでヒット作を生み出してきた経緯もあり、ここのトレンドは押さえておきたいところでした。
――なるほど。最初は他社と同様に「グローバルでヒットするハイパーカジュアルゲームを自社で作る」というところから始まったのですね。そして、結果はいかがでしたか。
1年ほど取り組みましたが、その難しさに痛感しました。
そもそもグローバルにおける成功モデルは、プロトタイプを毎週1本作って少額でマーケティングを展開……という超高速の千本ノック的なサイクルを行う必要があります。
さらに米国のCOPPA(児童オンラインプライバシー保護法)や欧州のGDPR(EU一般データ保護規則)など、遵守すべき海外法に対応しつつ回すとなると物理的にも難しく、成功イメージを描くことができませんでした。
――競合他社が増えているうえ、なかなか再現性のあるビジネスモデルではないため、苦戦は強いられるかと思います。そこからどのようにピボットされたのでしょうか。
少し視点を変えて、まずはグローバルから国内に特化した事業を展開することにしました。国内であれば、LINEのプラットフォームやアセットをフルに活用できるうえ、法律の面でも知見・ノウハウが整っている。そうして「国内でハイパーカジュアルゲームをどう展開できるか」を模索する方向に切り替えました。
ハイパーカジュアルゲームは、広告モデルなので薄利多売です。そのため日本のユーザー規模では採算が取れないというのが通説なのですが、その視点も切り変えて「LTVを上げたら日本の市場規模でも成り立たせることは可能なのではないか」と、ユーザー数を増やすよりもLTV(Life Time Value – 顧客生涯価値)を上げる方法を探し始めました。
――今までになかった視点ですね。ハイパーカジュアルゲームはいかに流入数を増やしてユーザーを確保するかがキモで、LTVに関しては半分諦めているところも多いですよね。趣向を凝らしたミッションを入れるなど、各社で努力はしていると思いますが、LTVに焦点を充ててアクションを取っているところは少ないと思います。
はい。やり込み要素を増やしていく形だと、ハイパーカジュアルゲームの良さである「すぐに面白いところまで到達する」という手軽さから矛盾してどんどん乖離してしまう。単純な足し算が出来ないからこそ、グローバルでユーザーを集めるという方向性になっているのだと思います。
そこで我々は、「ゲームコンテンツの外側、メタの部分で継続するモチベーションとして強力なものが用意できれば、LTVが上がるのではないか」という仮説のもと、実利報酬である「LINEポイント」の活用にたどり着きました。
ハイパーカジュアルゲームをポイ活(ポイント活動)と融合させて、ポイ活の一環としてゲームをプレイできるというのが体験として魅力的に感じ、昨今のトレンドでもある「Play To Earn(遊んで稼ぐ)風」の現在の方向に舵を切りました。
会社としてもこれが成功するかわからない状況でしたので、予算も抑えて、まずは私含めて3~4人くらいの小規模チームで始めたのですが、いざ始めてみると、初月から黒字化することに成功しました。
――初月から! それだけでもすごいことですよね。
もちろん小規模なので収益も決して大きいわけではありませんが、初月から手応えは感じました。もう少し上手くやれば、雪だるま式に大きくしていけるのではないか、ということで試行錯誤して、とりあえず現在のところまで成長しました。まだまだ登り切ってはいないですが、外から見ても成功しているとわかるところまでは来たのかなと思います。
――ローンチタイトルは、ユーザーに対してどのようなアプローチを行ったのでしょうか。
初期にリリースした『LINE:キューブサーファー』『LINE:Paper.io』『LINE:ふわふわダンク』(以下、『キューブサーファー』『Paper.io』『ふわふわダンク』)の3タイトルはあまり外部に広告を出稿せず、LINEポイントのお客様をメインにアプローチしました。
本来、ポイントメディアを活用するお客様は、ポイントの獲得が目的なので「ゲームをダウンロードして、1回起動したら終わり」というようなインストールのブースト施策で終わってしまうことが多々あります。しかし、今回はあえてブースト施策は打たず、「こういうアプリがあるよ」というPRだけをする形にしました。
そうしたところ、想定よりもユーザー流入があったのと、かつ普段ゲームを遊ばないようなお客様が集まったことで、タイトルによっては”ハイパーカジュアルゲームで成功したと言える水準のリテンション”の2倍以上の数値が出ることもありました。これは、ハイパーカジュアルゲームのユーザーにもアプローチすることで化けるのではないか、という期待感が初月でわかってきました。
――LINEポイントのユーザーにだけアプローチして、初月に黒字を達成できたのですね。
そうですね。正直、我々のチーム自体が外部出稿の知識もない状態で、とりあえず自社のサービスを利用してやってみようという段階だったので。
――マネタイズは基本的に動画広告ですよね。その収益が黒字だったということで、すさまじいスタートと言えますね。
売り上げ規模自体はそこまででもないですが、費用対効果を考えるとかなり良いスタートを切りました。
ハイパーカジュアルゲーム界隈では珍しいコミュニティ形成
――「LINEポイントゲーム」には「LINEポイントがもらえる」という最大の強み以外にも、他のハイパーカジュアルゲームと違う点はあるのでしょうか。
意外と他で見られないコンテンツとして、ランキングの要素を取り入れています。
そもそもランキングは、いわゆる上位プレイヤーだけの楽しみとされ、マスに向けた取り組みの中では費用対効果が低いとされています。また、近年ではeスポーツが盛り上がっている一方で、観戦するだけのユーザーも多く、こちらもまだまだ幅広いお客様には楽しんでいただきづらいのかなと思います。
そこで、我々のチャレンジとしては、LINEポイントをフックにして、超ライトなeスポーツができないか、ということを考えました。
弊社は「CLOSING THE DISTANCE」というミッションのもと、さまざまなサービスでLINEを媒介として行動のハードルを下げるというプロダクト設計をしています。eスポーツのような遊び方も、LINEポイントを通してハードルを下げることで、誰でも一度はプレイヤーとして挑戦ができ、かつ実際に賞金としてポイントがもらえると面白い体験になるのではないかと思い、ランキング機能を実装しました。
そして、いざやってみると「思いのほか盛り上がった」という印象があります。というのも、いくつかのタイトルではSNSを活用して、ユーザー同士でスコアを上げるための攻略情報を交換している様子が見られました。
その結果、実際に上位入賞で1万円分のポイントを獲得するということもありました。ユーザーの方々は前々からプレイしていたわけではなく、「LINEポイントゲーム」がきっかけで出会った人たちでした。
ハイパーカジュアルゲーム界隈において、コミュニティが形成されるのは珍しい事例なのではないかと思います。また、ランキングイベントによって、ユーザー全体のプレイタイムも上昇しました。
――他社でも一部のタイトルではランキングを導入しているかもしれませんが、LINEポイントというリアルインセンティブがあることでランキングの参加率の上昇、コミュニティ形成につながったのではないかと思います。インセンティブの存在やコミュニティでの密な交流が、LTVの高さにも直結しているということですね。
ポイントを軸に横断的な遊びを提供
――直近の『LINE:ハンディクラフト』(以下、『ハンディクラフト』)(2022年11月21日リリース)以外のタイトルは『LINE:マージジェリー』(以下、『マージジェリー』)(2022年5月10日リリース)を含め、リリースしてから結構期間が経っていますよね。現在8タイトルがサービス中ですが、「LINEポイントゲーム」のユーザーは、ポイ活のためにそれぞれのタイトルを横断的に遊んでいるのでしょうか。
仰る通りです。これは我々が当初から見込んでいた通りです。
ハイパーカジュアルゲームはユーザーの好みでやる・やらないがあると思いますが、「LINEポイントゲーム」の場合は共通の明確な目的としてポイントを稼ぐということがありますので、どのゲームでも一度は楽しんでいただけます。
もちろん、好みによってプレイタイムに濃淡はありますが、とりあえずどのタイトルもやってみる、という動きは見られます。それだけでも有難い状況ですね。
――今のトレンドはどのタイトルでしょう。
『マージジェリー』と『ハンディクラフト』の2つですね。ユーザーの母数は『マージジェリー』が多く、一方の『ハンディクラフト』はLTVの高さが圧倒的な数字となっています。
■LINE:マージジェリー
■LINE:ハンディクラフト
――『ハンディクラフト』はハイパーカジュアルゲームの中でもかなり手の込んだつくりになっていて驚きました。
『ハンディクラフト』に関しては、ベースとなるVoodooさんの作品をカルチャライズして、「LINEポイントゲーム」に落とし込んでいます。
実は『マージジェリー』も『ハンディクラフト』も単純なハイパーカジュアルゲームとしては、プレイタイムやリテンションが優秀だったものの、CPI(Cost Per Install – 1インストールあたりの広告コスト)の面でスケールできなかったタイトルでした。
しかし、我々の場合はLINEポイントによってある程度CPIを抑制することができるだろうという見立てがありました。
かつ「スケールしなかった」ということは、ポジティブに考えればまだ多くのユーザーに遊んでもらっていないということですので、LINEポイントによってCPIが抑制できれば良いこと尽くめであると考えたのです。こうした観点で上記の2タイトルは選出されていますね。
――なるほど。単純にゲームとして面白いタイトルを選出しつつ、LINEポイントという付加価値を付けているということですね。そうしたチョイスがLTVの高さにも繋がっていると。「LINEポイントゲーム」としての親和性があるかどうかの選定は、増田さんたちのチームが決めていらっしゃるのですか。
そうですね。正直、何が正解かはわからない状態からのスタートでしたが、いろいろな仮説のもと、現在の8タイトルが選ばれています。
今では8本リリースしたことで、徐々にユーザーにハマる型もわかってきました。ただ、「LINEポイントゲーム」が横断的に遊んでもらうことを想定している性質上、最適解ばかり追い求めるとジャンルに偏りが出てしまい、プレイ体験が単調になってしまいますので、バランス良くやっていきたいと思っています。
――実際ラインナップを見てみると、アクションひとつ取っても、ランゲームの『キューブサーファー』や陣取りゲームの『Paper.io』、『ふわふわダンク』は連続でタップするゲーム性となっており、インタラクティブの種類がそれぞれ異なります。そうした面で、「LINEポイントゲーム」はポイントの獲得を最大の売りとしつつも、プレイ体験の部分をおろそかにしないポートフォリオを形成していると思います。
メイン層は10代男性・40代女性
――現在、「LINEポイントゲーム」は主にどのようなユーザーが遊んでいるのでしょうか。
実はちょっと面白いデータが取れています。主に遊んでいただいているのは、10代の男性と、40代以上の女性というU字の図になっています。
――なかなか珍しい形ですね。
はい。ただ理由はシンプルで、10代男性は普段からハイパーカジュアルゲームで遊んでいるユーザーです。それこそ、Voodooさんのタイトルに触れているので、外部に出稿している広告がきっかけで訪れる方が多い。
一方、40代以上の女性はLINEポイントや「LINE GAME」のユーザーで、オウンドのメディアから獲得できた方々です。このふたつがバランス良く集まっていますね。
――10代にも広く利用されているのは少し意外でした。
10代の利用ユーザーが多い理由としては、あるひとつの仮説があります。そもそもLINEポイントは、貯めたポイントで主に「LINEスタンプ」を購入される方が多いという特徴があります。
スタンプひとつの値段は数百円で、他社のポイントと比較して単価が低いことから、これまでポイ活をしてこなかった10代のユーザーにも手軽に利用していただけているのではないかと思っています。
――確かに、少ないお小遣いをやりくりしていた10代の頃を思い出すと、スタンプ代を購入する手段としてはかなりのモチベーションになりそうです。「ライトなポイ活」を出発点として、10代のゲーマーにも刺さっていると言えそうですね。
LINE公式アカウントを活用したマーケ施策
――『マージジェリー』をはじめ、日々アプリストアの無料DLランキングで「LINEポイントゲーム」のタイトルを目にします。新規の獲得は順調なのでしょうか。
そうですね。一定数の新規ユーザーを獲得できています。
既存・休眠ユーザーに関しても一定以上いる状態でして、そうした方々にはLINE公式アカウントを通してアプローチしています。公式アカウントでは、定期的なイベントやキャンペーン情報などを告知する、いわゆる「プッシュ通知」的な役割を担っていますが、シンプルでありながらも効果を見出しています。
実際に多くの休眠ユーザーが復帰しており、DAU(Daily Active Users – 1日あたりのユーザー数)を支えてくれています。
――メッセンジャーアプリを軸とするプラットフォームならではの強みですね。
はい。「LINEポイントゲーム」の公式アカウントだけでも、友だち登録者数が370万人を超えています。(2023年1月中旬時点)
――新規ユーザーの獲得に関しては、外部のWEBメディアやカジュアルゲームに動画広告を出稿しているのでしょうか。
そうですね。これは想定外だったのですが、実は流入数で圧倒的に多いのは他社さんのマンガアプリからとなっています。マンガを読むために動画広告を利用されるユーザーが多いことも一因だと思いますが、送客元として極端に多い印象です。
ハイパーカジュアルゲーム市場が直面する広告の課題
――ユーザーから寄せられる意見で課題と感じる部分はありますか。
「LINEポイントゲーム」に限らず、ハイパーカジュアルゲーム全体の課題だとは思いますが、やはりネガティブなレビューのほとんどが広告に関するものです。
特に、ユーザーのプレイを止められてしまうインタースティシャル広告(※1)がUXを阻害してしまっているケースが多く指摘されています。これは、ハイパーカジュアルゲームとインタースティシャル広告の組み合わせが最も収益性が高いという側面があることに起因します。
そのためトレンドとしては、やり込み要素を増やし、課金までは行かなくともリワード広告(※2)を見たくなるような作りを採用しているタイトルが増えています。リワード広告であればUXを阻害せず、収益性も担保できますので。
※2 リワード広告:主に動画広告の視聴と引き換えに、ユーザーがアプリ内特典(ゲーム内通貨など)を獲得できる広告フォーマット。我々も現在はインタースティシャル広告に頼っている状況ですが、今後はポイ活とリワード広告を紐づけていくことで、運営側が広告表示を指定するプッシュ型ではなく、ユーザー側が広告表示のタイミングを指定するプル型に順次変更できるようにしていきます。
――抽象的な質問で恐縮ですが、ハイパーカジュアルゲーム市場の今後はどのように変化していくと思いますか。
これは私の所感ですが、良くも悪くも「スマホでゲームをプレイする」ことの希少価値はもうなくなっていて、ひとつのブームは終わってしまったという印象があります。それにより、コアゲーマーとカジュアルなゲームしか遊ばないライトユーザーの二極化はより顕著になっていくものだと思います。
なかでも後者が遊ぶゲームジャンルは、その大半がハイパーカジュアルゲームを占める可能性が高いです。
――ハイパーカジュアルゲーム市場の発展には、当然事業者が増えて、かつ成功したときのリターンが求められるかと思います。そういう意味ではマネタイズの面でも変化が起こりそうかと。
そうですね。ハイパーカジュアルゲームのマネタイズは、アプリ内広告(IAA)型が主ですが、それ以外のジャンルではアプリ内購入(IAP)型やハイブリット型(IAA+IAP)が主流でした。
これらは基本的にはIAP型をベースにIAAを取り入れる設計思想でしたが、ハイパーカジュアルゲームがこのままトレンドになり続けると、IAAベースに付随してIAPを徐々に導入していく形が主流になっていくのかなという印象です。
実際、Voodooさんのようにハイパーカジュアルゲームで成功しているところでは既にそうしたモデルになっています。
一方、「LINEポイントゲーム」ではまだIAPを入れていませんが、導入するか否かは難しい問題です。IAPを入れることで明確にメリットがある反面、Pay to Winになることでランキングでの公平性などが失われてしまうことは避けたいところです。
だから現時点では、IAAベースの設計でトレンドに合わせつつ、LTVを上げる手段としては、「ポイ活で稼げる」というモチベーションがIAPの代替となる要素になることを目指しています。
LINEポイント以外のインセンティブも導入予定
――最後に、今後の展開などをお聞かせください。
「LINEポイントゲーム」は「LINEポイントを稼ぐ」と「誰でも手軽に楽しめるゲーム」の両軸で、どちらかに偏らず成長させていきたいと思っています。
まずはVoodooさんとの共同タイトルを通じて「誰でも手軽に楽しめるゲーム」の提供を続けています。現在は、Voodooさんのタイトルを「LINEポイントゲーム」に移植するモデルが多いですが、今後はオリジナルタイトルも今以上にラインナップを増やしていきたいと思います。
そして「LINEポイントを稼ぐ」面について。
現在はLINEポイントのみが報酬となっていますが、それ以外の実利報酬が得られる仕組みも導入していく予定です。弊社にはLINEポイント以外にも報酬として提供できるものがたくさんあるので、他事業部とのコラボ施策なども積極的に検討していき、LINEのプラットフォームにしかできない経済圏を確立していきたいと思います。
このエコシステムが大きくなるほど、よりお客様にお得で楽しい経験をお返しすることができるので、たくさんのお客様に遊んでいただき、サービスを拡大していけるよう、2023年以降にも多くの施策を仕込んでいきます。
――「LINEポイントゲーム」は、ハイパーカジュアルゲーム市場の中でも新たな価値提供を担っていると思います。2023年の取り組みも楽しみにしております。本日はありがとうございました。
LINE GAME10周年:公式サイト
LINE GAME大感謝祭:特設サイト
企画・取材:原孝則
執筆・取材:森口拓海
撮影:岸波崇