20年ぶりにプライズゲームの景品限度額が引き上げ、1,000円に
プライズゲームの売上高は毎年成長を続け、2019年度には2,670億円、オペレーション売上高全体の約半分を支えるかたちとなっている。
プライズゲームの景品について、上限価格がこれまで小売価格で「おおむね800円以下」だったのが、警察庁による3月1日付の通達で「1,000円以下」に変更となった。景品限度額の値上げは2001年の風営法の解釈基準改正から約20年ぶり。
警察庁生活安全局は2022年3月1日付で「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準(福岡県警察署サイト)」の通達を出し、プライズゲームなどの景品限度額について以下のように示した。
遊技の結果が物品により表示される遊技の用に供するクレーン式遊技機等の遊技設備により客に遊技をさせる営業を営む者は、その営業に関し、クレーンで釣り上げるなどした物品で小売価格がおおむね1,000円以下のものを提供する場合については法第23条第2項に規定する「遊技の結果に応じて賞品を提供」することには当たらないものとして取り扱うこととする。
プライズゲームはゲームセンターにとって最大の収益源だ。
アミューズメント市場がピークを迎えたのは2006年、市場規模は約9,200億円に達した。同年のオペレーション(ゲームセンター店舗)売上高は約7,000億円で、その内「景品提供機(クレーン)」による売上は2,070億円、オペレーション売上高全体の約30%を占めていた。当時からプライズゲームが収益の担い手であったことがわかる。
その後、アミューズメント市場は急激に縮小していくものの、驚くべきことにプライズゲームの売上高は毎年成長を続け、2019年度には2,670億円、オペレーション売上高全体の約半分を支えるかたちとなっている。(データ出典:『平成29年度 アミューズメント産業界の実態調査』日本アミューズメント産業協会)
景品限度額の値上げはオペレーション売上の拡大に直結する。近年では精巧なキャラクターフィギュアや大型のぬいぐるみなどが人気を博していることから、プライズゲームによる収益はますます大きくなるだろう。
しかし、JAIAのインターネットアンケートによれば、「1回あたりの料金が高いと思うゲーム機の種類はどれですか(複数回答可)」という質問に対し、「クレーンゲーム」と答えた人は68.5%にのぼった。プライズゲーム頼みの収益構造では利用者の満足を実現できないのかもしれない。