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書評:『大学4年間のマーケティングが10時間でざっと学べる』阿部誠

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書評:『大学4年間のマーケティングが10時間でざっと学べる』阿部誠

東大教授が教えるマーケティング理論 ゲームは、クリエイターの作品であると同時に、市場でユーザーと取引されるサービスでもあります。企業とユーザーとのインタラクションによってサービスの価値が共創されるようになった今、マーケティングの理論的背景なしにはゲームの面白さは語れないでしょう。 TVCM、デジタル広告、ファンイベントなど様々な施策が飛び交う時代だからこそ、バズに振り回されないためにサイエンスとしてのマーケティングが重要性を増しています。 本書は、累計50万部突破のベストセラー『10時間でざっと学べる』シリーズの一冊です。 著者は東京大学で20年間マーケティングの教壇に立ってきた阿部誠教授。長年の指導経験は本書にも十分活かされており、STP、SWOTといったおなじみのセオリーから、価格弾力性とプロモーション弾力性を用いた広告予算の最適な配分の算出方法など、MBAコースで扱われるような高度な学説まで、2ページ見開きでわかりやすく図解されています。また、随所で身近なマーケティング事例にも触れ、誰もが「なるほど」と膝を打つ内容です。 理論と実務のギャップ マーケティングの実務は

書評:『心理学者が教える 読ませる技術 聞かせる技術』海保博之

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書評:『心理学者が教える 読ませる技術 聞かせる技術』海保博之

認知心理学から「わかりやすさ」に迫る 文章は、一にも二にもわかりやすさが大切です。私のようなライターはもちろんですが、そうでなくとも、職場では企画書、報告書、業務マニュアルといった様々な書類がやり取りされており、わかりやすい文章を書けるかどうかで仕事の質が決まると言っても過言ではないでしょう。 ですが、これほどわかりやすさが求められているのにもかかわらず、「わかる」とはどういう状態なのかと問われると、つい考え込んでしまいます。誰もが毎日何かについて「わかって」いるはずなのに、なぜか上手く説明できません。 「わかる」あるいは「わからない」時、私たちの頭の中で一体何が起きているのか。本書はこの疑問からスタートし、認知心理学の観点から文章表現の“なぜ?”に迫ります。 わかりづらさはどこから 文章術の解説書で必ずと言って良いほど挙げられているのが、「一文を短くする」というテクニックです。しかし、文章を書くにあたって私たちが本当に知りたいのは、「どうして一文が長くなってしまうのか」ということではないでしょうか。 文章を書いていると、一文にもっと情報を詰め込まなくてはいけないような気